会社の色・形を定義する経営理念。現場に浸透しないと悩む経営者は多いです。どういうことが起こっているのでしょうか。

経営理念とは

経営理念とは、会社という器に色と形を与え、様々な経営活動の指針となる情報です。社内・社外の関係者に対し「自分たちはこういう者だ。このような価値を提供するんだ。」という宣言となります。

有名企業の経営理念を眺めているだけでも関心させられることが多く楽しい。そこで語られる言葉には様々な要素があります。業界・商品・サービスの紹介、社会や消費者への貢献、自社の成長や業界革新への意気込みなど。表現方法も抽象的・具体的な表現、短文・長文など様々です。

作り方に特に決まりもあるわけではなく、何を書いても自由です。

経営理念が生み出すギャップ

何を書いても自由であるものの、個人的には情報として不足していると思える理念があります。
食品を取り扱う企業の例にとると、「食を通じて世の中の幸せを創造する」といったものを度々みます。その企業が「食を通じて」いることは経営理念を知る前に把握できているはずで、世の中の幸せを願わない企業はないはずです。とすると、この手の経営理念から新たに得られるものがなく、情報としては弱いと言わざるを得ません。

繰り返しになりますが経営理念は経営活動の指針となるべき情報です。経営理念に活動を示す情報が不足する程、日々の現場活動との間にギャップが生まれます。抽象的でピンとこない理念を毎朝唱和させられる現場は不幸です。

話は「経営理念が浸透していない」のではなく、「浸透しているものの動きようがない」のかも知れません。

ギャップをどうすべきか

とはいえ、経営理念を具体的に書き直しましょうと言うつもりはありません。創業時のドタバタの中で一生懸命考えた思い出があったり、代々受け継いできた大切なものであったり、誇り高いものであるはずでいたずらに修正するべきものではないからです。

経営理念と類似した情報として、社是、社訓、行動指針、行動理念、信条、使命、戦略、○つのお約束、ミッション、ビジョン、ポリシー、クレド、コンセプトなどがあります。これらの言葉の定義は人により異なりますが、経営理念とほぼ同じ目的で使用してよいでしょう。

弊社ではこれら情報を駆使しながら、経営理念が生み出す情報ギャップを埋める作業を行っていきます。たとえば、経営理念⇒3つの行動指針⇒中期経営戦略⇒目標管理のようなスムーズな情報の流れを作ることで、芯の通った現場行動に繋がります

上記の例なら、食、世の中、幸せなどの言葉の定義、想いを具体化していき、将来なりたい姿に対して今何をすべきか整理していきます。自分達ができること、できないこと、協力者、直近の課題、解決にあたるメンバー、スケジュール等どんどん深掘りしていきます。経営者にとってもキーワードが色々浮かび上がってくるようで、頭すっきり行動しやすくなるようです。

抽象的な話題となりましたが、経営理念と現場の行動の間にどの位のギャップがあるか検証してみてください。