「あぁ、なんでそんな簡単なことを見落としたんだ」という後悔を激減させる伝説の魔法陣、フレームワーク思考。
簡単でいいから誰もが使えるようになってほしい。そんな話です。

フレームワーク思考とは

フレームワークとは枠組みのことです。枠を規定するのが視点。切り口や軸なんて言い方もされます。情報を枠に整理して漏れなくダブりなく思考を張り巡らせるテクニックがフレームワーク思考です。
目的は、トラブル発生時「なんでそんな簡単なことに気付かなかったんだろう」という後悔を減らすこと。「何か見落としはないか。今の段階で検討すべきことはこれだけでいいか。」

利用シーンは2つ

私はフレームワークを2種類の用途があると考えています。

用途① 情報を説明するため

3Cや4Pなどのビジネス用途から、5W1Hや起承転結、春夏秋冬など生活に根付いたものまで先人たちが気づき上げた既存のフレームワーク。
誰もが知っているフレームワークで情報整理・説明すれば理解が得やすい。自社分析結果を説明するためにSWOT分析を、マーケティングなら4Pを使うと理解を得やすい。図表が何を語ろうとしているのか一瞬で把握でき、読み手にやさしい。
以下、フレームワーク適用と呼ぶことにします。

よくある「型にはまり、狭いものの考えしかできない」「自分で考えなくなる」「新しいことが生まれない」などのような批判はたいてい、フレームワーク適用に向けられています。確かにその通りと思います。

用途② 思考を深めるため

「この状況をどういう視点(枠)で整理すれば真実に近づけるか」探るため、思考を深めるために用います。枠に情報を整理しながら考える。しっくりこなくなると枠を作り直して、また整理する。真実に少しでも近づくために、最適な視点を追求し続ける。
こちらはフレームワーク開拓と呼ぶことにします。

枠そのものを模索するフレームワーク開拓は、上記の批判はあたらない。

フレームワーク思考の本質

フレームワーク思考を語る書籍や記事の多くは、3Cや4Pなどの既存フレームワークを数十列挙し解説する。そして、あとがきで「自分なりのフレームワークを見つけよ!」と結ばれる。つまり「フレームワーク適用」の要素しか語られていない。

「フレームワーク適用」と「フレームワーク開拓」はとても混同されやすいですが、やはり区別したい。フレームワーク思考の言葉の定義は人によって異なるため、賛否あるでしょうが、私はフレームワーク思考=「フレームワーク開拓」と定義しています。

フレームワークを駆使しながら、最適な視点を追求し続ける行為こそ、フレームワーク思考の本質で真髄と考えます。

「フレームワーク開拓」の使用方法

多くのケースでは、縦軸・横軸の二次元で情報整理していきます。
縦軸には、主題となる情報をセットします。例えば戦略、組織、人、投資案件など。
横軸には、縦軸の主題を比較させる情報をセットします。例えば、時間変化や因果関係、長所・短所などの評価など。
上記の縦軸、横軸の例を組み合わせるだけでも様々なパターンができあがります。

例① ~スケジュール作戦会議~

縦軸:担当者 横軸:時間 情報:作業
担当者を縦軸にセットし、今日から期限までの期間を横軸にセット。会議のなかでホワイトボードやノートにササッと書いていく。担当ごとの作業を漏れなく整理し、どのような流れで進めていけばいいか試行錯誤する。整理するにつれて担当ごとの作業配分が明確化され、より効率的なスケジュールが見えてきます。「角野と松本の1月が空くなぁ。事前に何かできないかな?」

検討が行き詰まり、もう一度最初からやろうと、今度は縦軸は担当ではなく役割と人数で検討してみようと新たな視点で開拓されるかもしれません。

例② ~設備投資の意思決定~

縦軸:投資案件
横軸:評価項目(期間・費用・体制・効果・リスク)
「期間・費用・体制・効果・リスクの5つ考えればいいのかな、他に何かあるかな」など色々検討を重ねる。「リスク対策も考えておこうかな」「あと、縦軸はA案B案にしたけど、A案のみ、B案のみ、先A案後B案、先B案後A案で考えた方がより具体的かな」と順番という視点を加えて開拓を進めていく。

必要な視点を抜き差ししながら精査が進み、やがては自分たちの投資フレームワークに育っていく。

例③ ~マーケティング戦略~

縦軸:自社の行動 4P
横軸:顧客の行動 AIDMAモデル
一般的なフレームワークを組み合わせてもいいです。顧客の購買行動を表したフレームワークAIDMAを参考にしたそれぞれの段階において、自社はどのような行動をとればいいのか。縦軸には行動を4Pで分類する。以下の様な表をホワイトボードに書き出し、自分たちは何をすべきかどんどん付箋に書き出す。

明日をよくする魔法

例に挙げた開拓作業こそが、フレームワーク思考の本質と考えます。
悩み、試行錯誤のプロセスを効率化させて将来起こりうる後悔を減らせられるかが重要です。やり方の上手い下手は重要でありません。正解もありません。

行き詰まったら、何か見落としがある予感がしたら、魔法陣を作りましょう。そして「考えるべき要素は何だ?縦軸は?横軸は?」と魔法の言葉を繰り返す。

「MECEでなければやる意味なし」なんてくだらない意見ありますが、気にしない。見落としをなくし1%でも成功確率を上げるため、もがいていきましょう。
明日、ちょっと使ってみてください。