様々な苦難を乗り越えてきた先人たちが残した冷や汗と涙の結晶、論理思考。
簡単でいいから誰もが使えるようになってほしい。そんな話です。

論理思考は使える道具

論理思考の目的は「今の自分達で出せる精一杯の作戦を導き出すこと」と定義します。
目の前にある問題に対して集まった人材、与えられた時間、使える資金の中で自分たちが納得できる最高の答えを効率的に導き出す。

トラブル発生時「なんでそんな簡単なことに気付かなかったんだろう」という後悔はだれでもあるかと思います。そんな後悔を少しでも減らすために、先人たちはMECEやロジックツリー等の道具を残してくれました。

論理思考とは

論理思考は「事実を体系的に捉えて筋道立てて解釈を進めていく思考方法」です。

論理思考で取り上げられる2大テクニック「MECE」「ロジックツリー」は多くの書籍に語られております。人による解釈のブレもない確立した理論です。
詳しくは書籍に任せるとして、ここでは簡単に説明します。

・MECE 話の要素を分けて漏れなくダブりなく整理する。
・ロジックツリー 話の因果関係・主従関係を整理する。

漏れなく整理することで「考えてなかった」ことを防ぎ、ダブりなく整理することで「効率的でシンプルに解釈」が可能になる。
体系的に整理することで全体像を容易に捉えることが可能になる。話の因果関係を整理することで事実を容易に理解でき、主従関係を明確にすることで話がスムーズに繋がる。

「複雑に見えたこの問題、整理すると3つの原因によるものとわかりました。」
「おぉ、忘れてた。危うくトラブルになるところだった助かった。」
「だとすると~~という面にもリスクがある。まず~~を直そうよ。協力するから」

論理思考の第一歩を踏み出そう

論理思考を身に付けるのは難しい。考える習慣を変えるから。
論理思考を身に付ける第一歩として、ご自身で悩んでいるとき、会議中などで、以下4つを問い続けてみてください。

①「話がごっちゃ。分けて考えよう」
②「何か見落としてないか」
③「そうだとすると何が言えるようになる?」
④「なぜ?それって本当なのか?」

これらをぶつぶつ言いながら妄想するだけでもかなりの気付きを得られるはずです。
「なんで気付かなかったんだ」という後悔は減るはずです。
私なんかは職業柄②をノイローゼのようにいつも心の中で問い続けています。

論理思考など所詮道具に過ぎません。難しく考えないで、少しの時間に少しでもいいので使ってみませんか。常に問題と向かい合う姿勢、深く考えようとする姿勢。これが論理思考入門の第一歩となります。MECEやロジックツリー、フレームワーク思考など難しい話はその後で十分です。

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詳しく勉強してみたいと思われる方は以下お勧めです。
①「考える技術・書く技術」(バーバラ・ミント著)
②「イシューからはじめよ」(安宅和人著)
③「問題解決プロフェッショナル 思考と技術」(齋藤嘉則著)

どれも有名な本です。分かり易く書かれていますが初めての方には少々難解かもしれません。
コンサルタントですらこの3つで十分と言える程に栄養豊富です。

補足:論理思考否定派への反論

思いつきでも成功することはあります。どれだけ綿密に練った作戦でも外れることはあります。そんなことがあってか論理思考には多くの否定論が生まれる。

「考えてる時間あったら行動」

考える時間がゼロという状況なんて滅多にないでしょうから、与えられた少しの時間でいいので検討してみませんか。思考するとは立ち止まることではありません。もちろん、行動してみて得られる情報もありますが、だからといって何も考えず動き出せというのは乱暴です。「ビジネスはスピードが命」といったところで、何も考えない、思いつきで動いていいということにはならないでしょう。

「理屈っぽい」「ロジカルで人は動かない」

論理的思考術と論理的表現術・説得術は分けて捉えるべきです。論理的思考というと、プレゼンテーション等の表現技術と混同する方が多い。

たしかに、論理的表現術・説得術を使い誤ると困ったことが起こります。
理屈っぽいと言われるのは状況に不適切な表現方法を行うから。論理思考で築いたロジックやストーリーをそのまま他人に伝えようとする人は多い。コンサルティングの現場ですら分厚い資料を一から全部説明し相手を呆然とさせるケースをよく見ます。誤った説得術です。
「ロジカルで人は動かない」は当たり前。論理思考は情報整理方法に過ぎず、感情はまた別のところにある。「あんたが嫌いだから従わない」「的確すぎて従うのがシャク」。感情を無視してはいけないが、論理思考の否定には繋がらない。

「未来なんて予測できない」

「未来なんて予測できない。そんな事で商売するコンサルは害悪だ」と主張する本があります。論理思考は未来をぴったり言い当てるためのものではありません。見落としを少しでも減らし成功確率を上げるための努力の方法論にすぎません。

「絶対正解と言えない」

ロジックを支える情報の収集には限界があり、事実解釈はその人の能力に依存する。事実を全て捉えていない中で導かれた結論は危険であるという意見。その通りです。危険はあります。ただ、100点取れないなら意味がないというのは乱暴です。見落としを少しでも減らし成功確率を上げるためのものです。70点だとしてもやれるべきことは精一杯やってみましょう。

「論理思考は冷たい」

うやむやだった厳しい事実を明らかにしなくてはならないことも多々あります。ズバズバ事実と原因を列挙する人が悪魔のように見えさえする。
ただ、論理を明確にすることと相手の気持ちに配慮することはトレードオフにはなりません。相手に配慮しつつ論理展開を進めることは可能です(難しいけど)。
なので「私は人の心を失いたくないので論理思考なんてごめんだ」というのはおかしい。

色々列挙しましたが、何をそんなに必死に反論しているんだと言われそうですね。
世の中とにかく難しく語る人が多くて敷居の高い世界に見えます。上で述べた4つの問いからでいいので少しでも使ってみましょう、ということです。
数値計算の筆算、文書作成の起承転結などの道具と同じくらい気楽に使って欲しいです。

従業員一同みな論理思考のマスターになりましょうとは申しません。
トライスターズのサービスにおいては、3人のスターの役割それぞれに必要な要素を噛み砕いた仕組みに落とし込んでいきます。目標推進の仕方、意思決定の仕方、情報把握の仕方。